良かった点・悪かった点

良かった点(個人的)

冒険の根拠やテーマが共有されているところ
【フィールド&マップ】
 いうことなし!もう今のご時世でここまで手をかけて丁寧に作りこむことがどんなに大変か、尊敬するほかない。本当のことをどれだけ嘘にでき、嘘をどれだけ本当にできるかということなら、このフィールドはお世辞抜きで『本当』になっていたと思う。
 いわゆる「公道」はなくて、自分が歩いた場所が「道」。ゲームならではの冒険感。プレイヤーの数だけ主人公たちが、目的さえ忘れてなければいつかちゃんとたどり着ける。冒険、道、目的の意味の整理がとても上手!フィールドこそが、キャラクター達の台詞で補うまでもなく、世界観そのものだった。あれだけ濃いフィールドなら、主人公が生まれ育った愛しい土地を残したくなるし、守りたくもなる。プレイヤーの旅や戦いの動機と原動力になるよなあ。

【セーブ周り】
 大人がRPGをプレイする場合、最大のネックは時間の制約。
子供は遊ぶのが仕事みたいなもんだから、若さと情熱でどうにかなったりするけど。
でも大人は仕事が仕事だから、いくらRPG好きでも、仕事に手一杯だとせっかくの余暇が出来てもとにかく寝たい。
で、時がたつとふと気が向いてゲーム立ち上げても「どこまでやってたっけ?」「ここどこ?」「どうやって戦ってたっけ?」ととにかく『思い出せない』病が重症化。それが見事に解決されていた。不定期にゲームを終了&開始するのが可能でとても快適だった。意外と出来てない(敢えて取り入れない?)ソフトも多いからなおさら偉い。

【バトル】
 セーブ周りと同様に短~長期空けてゲーム再開すると、またすぐ直感的に戦闘が楽しめるところまで戻ってこれない。で毎回こんな感じだと、その先が面白そうだったり気になってたとしても、続けたりクリアすること自体を諦めがち。そのネックも上手く解決されている。良質アイコンが筆頭!バトル情報をイメージキャッチしやすい。戦うだけなら未就学児でも全く操作性に問題なさそう。戦闘もシームレスだから、いちいち変な開始待ち時間?みたいな暗転トランジションやら時間稼ぎ視点グルグル移動みたいなのもないし、各々の武器をジャキンッ!って出すだけのシンプルな対峙の瞬間が、何気に格好よかった。
 雑魚敵は適当に色見て乱打していれば華麗に戦闘できるのに、突きつめたい派には戦術的に深く戦える余地もある。Lv100超えユニーク相手には、キズナ含めた戦術をかなり突き詰めていかないと太刀打ちできない。それら強すぎユニークに対しても「○○の○○じゃないと倒せない」という正解や定番戦術は全くないあたり、非常に素晴らしい。
 また、操作キャラを変えると戦術も大きく変わるけれど、やっぱりとことん直感で操作できるのがすごい。いわゆる『使えないキャラ』は存在しない。色を本当に上手く使っているなあと思う。

【キズナ】
 さらに、魔法使い、剣士、回復役などが各自専門的にバラバラで戦ったり、足を引っ張る奴のフォロー色の強い戦術に偏らず、各キャラの特性を生かしあいながら「いかに仲間とつながれるか」という、仲間の技をよく知り、リンクしあうための前向きな『キズナ』を生かしたバトルシステムであることが凄い。チーム(パーティ)を組む根本的な意味を思い出させてくれる。ただ新しいシステムを作りました!っていうのではなく、全体テーマに合っているし、過度に親切すぎる設計でもない。
 ほぼ固定化した戦術をひたすら度重ねる戦闘は、いくらシステムが優秀でも暗い気持ちになる。ゼノブレイドは、通常バトルが基本的に明るいのが嬉しい。それだけに、ここぞというバトルでは、本当に悲しくなった。

取捨選択可能な情報数の多さ。シームレス快適!
 開発の人達は実際ものすごく大変だと思う…でもユーザーとしては、各地に点在する情報集めは本当に楽しかった!
コレペディア、クエスト、復興などいろんな形でバトルの成果や情報が様々な方向に飛んで行って、がんばったことがどこかにきっとつながっていて、小さいことだけどキズナという「モノでないかたち」で報われているのが、ほのぼのと温かい。
 ゲームに道(処理?)は絶対必要。でも子供は大人に探検ダメと言われようが探検するし、道がそもそも不要。ゼノブレイドは(作り手にとっては実に地味で面倒な作業ではあるだろうけど)子供の遊べる広めの空き地を道傍に復活させてくれた!それもドラえもん的空き地じゃなくて、日本全国津々浦々どこでもいけい!と言わんばかりの広さを。この空き地のどこかに目的地がきっとあるよ、さあ探してみよう、位置についてよーいどん!という感じで。
 行先だけ伝えておけばいい、あとは好きにやっていいよ(作っとくからまかせとけ!)っていう、懐の広~い一つの気持ち良い答えが示された凄いゲームだと思う。さすがプロフェッショナルな職人さんたち!

音楽!
 基本通常版ばかり買うタイプで、うっかりメルルのアトリエを初回特典付きで買ったら「やっぱりこんな付属品要らなかった…」とがっかりだった(でもゲームは面白かった!)。そのため今回、初回特典なんかいるかい!と思って通常版を買ってしまった自分を本気で呪った。これはサントラ欲しかった…ユニークの音楽は良すぎる。ACE+という神様を見つけた、っていうかゼノブレイドに凄く合っていた。とくにRPGの肝となる盛り上がるイベントシーンでは、よくその曲調やそのタイミングによっては「狙いすぎてて気持ち悪っ!」っていうことがおこりがちだけど、ゼノブレイドでは、最も立ち上がってくるタイミングやバランスで曲が入っていて、すごく熱くて良かった!
 また、楽曲も凄いけどSEが凄い。モンスターごとに異なる息遣い、鳴き声。そばに寄っていくと徐々に聴こえてきて、カワイイやら怖いやら。モンスターは、単に主人公のレベル上げにあてこまれた単なるデータや絵じゃなくて、もともとプレイヤーの意思や行動とは関係なくそこに生きているし、彼等にも守るべきものやコミュニティがある存在なんだってことがよく伝わってくる。BGMも音も両方とも、本当に大事に使われているなあと思う。

混ぜ方!
 マップ、イベント、バトル、…もろもろを上手く全体としてメイキングしたお方。高橋監督!
 各部署がどんなに良質でも、最終的に混ぜ方使い方が悪ければ、人を死に至らしめる劇薬ゲームに。
しかし、これは本当にバランスが最高!続きが楽しみで次の日もワクワクする、元気になれる。そこまで提供してくれるゲームは貴重。ゲームの演出をする人は多くても、演出を出来る人はやっぱり限られていると思う。芸事でいう「感じが良い」お方なんだなあとつくづく感心・尊敬!



普通だった点(賛否両論ありそう?)

キャラデザ
 別に悪くない。むしろ良いと思う。イベントムービーは音楽も相まって文句なし。メカフィオルンはもう完璧。カルナふんどし?装備とディクソンのベルトだけはあの~…という思いはあるけど、おしゃれに酔った装備よりダサい装備のほうが断然愛嬌がある。とくに重装備は、きっと見た目の面白さ重視だと確信。おしゃれとは!おしゃれな衣服を身につけることにあらずっ!どこにでもあるような何の変哲もない服や、一歩誤ると究極にダサ難しい服をおしゃれに着こなすこと(fitting)にありっ!つまりゼノブレ装備とは、プレイヤーの本当のおしゃれ能力値がわかる一種腕の見せ所なのだ…たぶん!

セリフまわし
 厨二とは特に思わなかった。ラストの方では尻がちょびっと痒いときもあるけど、それも全体的に人間(少年)らしい哀愁があるし、勧善懲悪的だけど寄りすぎてない。どのキャラが主人公になってもかまわないくらい丁寧に掘り下げられている。そのキャラなりに一所懸命だからこそ対立したり利害が一致せず衝突する様が、色んなキャラの嘘やリアルな言葉にのせられている。台詞とカメラワークも、緩急かみ合っていてとても良かった。穴子さん~!声優も浅いなぞり演技などではなく、本当にしっかりしていたなあ。メリアの声の人は新人さんだとか驚き。

メカ
 好きなほうだけどよくわからない…。ゼノギアスではメカ(ギア?)に乗ったり降りたりガシーンガシーンと戦うのが気持ちよかったけど、今回はメカは敵。とにかく機神兵がレベル低くても硬くてなんか怖かったなあ…。マシンの音が好きだったけど、今作は印象は薄目かも…?でも、巨神界の生物の音声はとても分かりやすく、たくさん記憶に残っている。機神兵だと、かわいい鈴虫みたいな音の飛ぶタイプのやつとか強襲式くらいしかあまり印象に残ってない。でも、機神兵も近づくと種類によって音がちゃんとそれぞれ違っていて、余裕の出てくる2周目以降からは、そばに寄ってじっくり音を鑑賞できる。
 ゼノギアス以後でも思ったけど、メカをちゃんと愛情持って動かせるゲームはどんどん少なくなっているから、そうしたメカの存在の扱いにも長けるモノリスソフトで、これからも大事に引継がれていってほしいなと願う気持ち。



悪かった点(個人的)

売り方
 プレイしてから見るとテーマも良く伝わるし、意味的にはこれ以上ない良いカットだったと思う。でも他タイトルデザインと見比べると、地味というか霞んで目立たない気がする。
 巨神膝頭?から機神界を初めてながめたときのあの記念すべき興奮のシーンも、(前情報の取得無しの)未プレイ人が眺めると、残念ながら興奮はなく、何の話なのかのイメージが湧きづらく、牧草は牧草、青空は青空、剣みたいなものは剣、不気味なロボは不気味なロボで、それ以上でもそれ以下でもなかった。CM見たとかストーリー知ってるとか、あらかじめ仕入れたゲーム情報をのせて見ないと面白そうと思えないパッケージデザインは、ちょっと訴求力的には不利かも。
 CMも、見てクソゲ―だと勝手に思っていた当時の自分や友人を本気でボコ殴りにしたいわけで…。あれは本当にゼノブレイドを好きな人が作ったCMなのかなあ…悪ノリというか購入予定層(?)を茶化してるというか、ともかく真面目な印象を受けなかった。発売日は知っていたし気になってはいたけれどそれが決め手で予約をやめた。半年以上たち、ようやく口コミで面白そうだと知ったが、探さないと目につかず、近づいて手に取ってもまだややCMの残像で躊躇。ゲームそのものの持つストレートな熱さや良さを、もっと格好つけずに前面に出してもらったらよかったな。その方が、満足不満足以前に、素直に信じられる。中身には全く問題ないのだから、外側と売り方を、ちょっとだけ改善してもらえたらもっとご新規さんも増える気がする。
 つまらんゲームは売れても売れなくてもいいが、面白いならやっぱり華麗に売れてほしい。お気に入りのゲームだからこそ。感想なんかを共有したり話したい。個人的には、パッケージ表面に人が誰もいないのは心理的にちょい不安(ゼノギアスもxエックスだけだけど…)だった。とりあえず、RPG好きでこのゲームを知らないのは絶対にいかんと思うよ!ライトなRPG紳士のたしなみとしても是非。

ザンザの「友が欲しかった」
 急にザンザの存在が胡散臭く腑に落ちなくなってしまった…そもそも神は自分のことを「我」っていう呼称使うかなあ。一人称を使わない気がする…一応全てを創造した唯一神のつもりなら全てが自分で、自他の区分自体がないわけだし…。でもだからこそ、ザンザが神じゃなかったっていう必要十分な証拠にもなるのかな。
 一応まがりなりも神でずっとやってきたんだから、最期まで「友など…要らぬわ…」とかいって人間らしくなく突っ張ったまま逝ってほしかったな~。でもやっぱりそう思わなかった人も大勢いると思うので、これは単なる個人的な感想どまり。

アイテム欄が少ない
 (アイテムを敢えて捨てさせる)意図的な少なさかもしれないけど、もう1ページでもいいから増えたら良かったかな。面白いアイテム名も多かったし、クエスト関係なくなんとなく集めたくなるから。
 それか、シュルクの研究所などに保存箱みたいな感じで、手持ちのアイテムを標本的にいくつかでも移せたなら、せっかくとったアイテムを泣く泣く捨てたりしなくても残しておけるから、そういうのがあったら便利だったかな。そのくらいしか不満点がない。



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